広報霧島 2013年9月号

広報霧島 2013年9月号 page 6/28

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広報霧島 2013年9月号

「あんなに元気だったのに、まさか認知症になるとは…」。そう話すのは宮内昭あき稱のりさん(59)。国分松木の実家で父・盛さかえさん(98)の介護をしています。症状が現れだしたのは10年前。最愛の妻に先立たれ、元気のなかった盛さんは、物忘れが増えていきます。最初は年のせいかと思っていた昭稱さんでしたが、すぐに違うと気付きます。夜中に冷蔵庫の中の生肉や保冷剤を食べようとしたり、ひざが悪いのに外に出ようとして玄関や廊下で転んで動けなくなっていたり。それが介護生活の始まりでした。「入れ歯の掃除や排泄物の処理など、最初は自分の父親でも抵抗があって顔を背けながらしていました。目を離すことができなくて心休まるときがありませんでした。中でもつらかったのが“あんたは誰け”と私のことを忘れたとき。もう無理だと感じました」そんな昭稱さんを支えてくれたのは地域の力でした。民生委員の方が心配して来てくれて、介護サービスのことをいろいろ教えてくれました。地域の方も声を掛けてくれました。「最初のころは、介護に必死で社会との関わりが持てず、孤独感を感じていました。出口のないトンネルのようで本当につらかった。そんなとき、介護サービスのことを教えてもらい、少し自分の時間を持てるようになりました。地域の方の何気ない声掛けも、つながりを感じられて、本当にうれしかったです」介護のために早期退職した昭稱さん。今は農業をしていた盛さんの畑を継いでたくさんの野菜を育てています。今の一番の楽しみは父との昔話。取れたての野菜を持っていくと農業をしていた時の話や昭稱さんの子どものころの話をしてくれます。昭稱さんは「父の話を聞くと、家族のために一生懸命働いてくれていたことが分かります。今は思いが通じ合わないことも多いですが、この時だけは、つながりを強く感じるんです。これからも皆さんに支えてもらって、父と一緒にこの地域で暮らしていきたいです」とほほ笑みます。つながりのある社会認知症の人と家族の会鹿児島県支部「やすら木会」代表の水つ流る凉子さんに、認知症介護の現状について聞きました。「介護の悩みを一人で抱えている方が多くいます。自分だけが頑張ればいいと思う人には無理が出てきます。認知症の介護は柔軟な考えが大切。相談できる人を作ることが必要です。そのために私たちは活動しています」盛さんの食事の介護をする昭稱さん広報きりしま 6