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概要

広報霧島2014年5月号

山原台地ではかなり下の方に見られ、そこから東へ向けて高度が徐々に上がっています。これは、時期ははっきりしませんが、加久藤火砕流が堆積する前に、天降↑↑天降川と温泉の関係川に沿って東側が大きく沈むような地層のずれ、つまり大規模な断層が発生したことが分かります。この断層によって天降川付近が大きく落ち込み、そこに河川が入り現在の天降川ができたと思われます。四.天降川と温泉このように、天降川沿いには断層があり、その断層の割れ目を伝って温泉が湧き出るため、温泉が点在して温泉郷を形成しているのです。日本全国にある川沿いの温泉地も同様な仕組みでできたと思われます。天降川沿いの主な温泉と発見年代は次のとおりです。?安楽温泉 康治元(一一四二)年?清姫温泉 永仁元(一二九三)年?塩浸温泉 文化三(一八〇九)年?妙見温泉 明治二八(一八九五)年?姫城温泉 昭和九(一九三四)年これから行楽シーズンに入り、温泉めぐりを計画される方も多いと思います。温泉地に行かれたら、ゆっくり温泉を楽しみながら少しだけその歴史について考えてみてはいかがでしょうか。(文責=鈴)南北に流れ、全長約39・2㌔、22の支川を持つ県内最大の二級河川です。では、天降川はなぜこの場所に流れているのでしょうか。天降川の周辺を調べると、不思議な現象が見られます。天降川の西側には十じゅう三さん塚つか原はら台地(空港のある台地)と東側には春はる山やま原はら台地があります。その標高は両方とも235~250㍍とほぼ同じであるにもかかわらず、約34万年前に堆積した加か  く とう久藤カルデラ(えびの盆地を起源)の火砕流は、十三塚原では台地の上部に存在していますが、春山性温泉」と地下深くなるほど温度が高くなる深層熱源による「非火山性温泉」があり、霧島の温泉は全て前者になります。二.温泉と断層では、なぜ温泉は地中から湧き出てくるのでしょうか。火山の地下数㌔~十数㌔にはマグマだまり(800~1200℃)やマグマから分離した高温の熱水や火山ガス、水蒸気などがあり、割れ目などの弱いところを伝って地上へ出ようとします。霧島が昭和九年に日本で初めて国立公園に指定されて、今年の三月で八十周年を迎えました。昭和三十九年に屋久島、桜島、指宿、佐多が加わり霧島屋久国立公園となり、平成二十四年三月には屋久島を分離し、錦江湾奥の姶良カルデラを加えた「霧島錦江湾国立公園」として生まれ変わりました。霧島錦江湾国立公園の特徴は、巨大カルデラ噴火とその後の火山活動(霧島山・桜島・開聞岳など)によって形成された特徴のある地形や、ミヤマキリシマを代表とする多様な植生、さらには豊富な温泉群が挙げられます。一.霧島の温泉霧島市には数多くの泉源があり、霧島温泉郷、霧島神宮温泉郷、妙見・安楽温泉郷、日当山温泉郷などの温泉地を形成しています。これらの温泉地はその所在が山岳部と河川沿いの大きく二つに分かれています。では、この違いは何でしょうか。それには、まず温泉の成り立ちについて紹介しなければなりません。温泉とは、地熱で温められた地下水が地中から湧き出す現象のことを言い、火山の地下のマグマを熱源とする「火霧島山に降った雨水が浸み込んでできた地下水だまりに熱水や火山ガスなどが触れると、高温の温泉水ができます。温泉水は地下水などに比べると軽いため上昇する対流が発生し、火山活動や地殻変動、地震などによってできた割れ目(断層)を通って湧き出てきます。霧島の四つの温泉郷はいずれも同じ仕組みで温泉が湧きますが、河川沿いの妙見・安楽温泉郷と日当山温泉郷は天降川の成り立ちと深い関係があります。三.天降川の形成天降川は、霧島市を縦断するように地下水溜まり十三塚原春山原入戸火砕流(シラス)約3万年前加久藤火砕流約34万年前マグマ温泉水天降川熱水・水蒸気→天降川付近の地層断面図断層面→妙見温泉と天降川広報きりしま 18histor y & national park