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概要

広報霧島2014年8月号

〈随ずいそう想〉調理し、酢味噌で食べる精進落しの行事です。「半切り」と呼ばれる底の浅い馬の飼料桶に竹と板を組み合わせて作った素朴ないかだを使うことがその名の由来とされています。魚は見物客にも振る舞われ、参加者と一緒にお酒を酌み交わすなど、昔からの風習が今も大事に守られている伝統的な行事です。はんぎり出しの舞台は、広瀬地区南側の小こ村むら新田干拓地にある「住吉池」と呼ばれる潮溜まりです。昔は、この潮溜まりでウナギを捕ったり、泳いだりするなど、地域の子どもたちの憩いの場でした。干拓地は江戸末期につくられ、そこの管理賃として漁業権を与えられた水守たちが、エッナ漁を始めたのが起源とされています。また、住吉池の周辺には2・5㌔に及ぶ海岸遊歩道があり、霧島市と姉妹都市の岐阜県海津市の「木曽三さん川せん千本松を愛する会」から贈られた「帰り松」が遊歩道に沿うように植えられています。このはんぎり出しは地域をはじめ多くの人たちの「思い」に支えられています。昔は多くの見物客や出店でにぎわい、お祭りみたいだったこの行事も、時代の流れで参加者や見物客が少なくなりました。広瀬地区は6300人以上が住む広い地域ですが、昔のにぎわいを知る人は少なくなっています。それでも、毎年楽しみにして来てくれる参加者や見物客もいます。エッナをさかなに年寄りと楽しく盃を交わす若い人もいます。時代は変わっても、この伝統的な行事の素晴らしさに変わりはありません。はんぎり出しに関わってきた全ての人がこれからも大切に守り続けたいと思っています。そのため、毎年きれいな場所で楽しんでもらえるようにと、住吉池周辺の草刈りや清掃活動を続けています。長い遊歩道脇の除草は体にこたえますが、参加者の笑顔を思い出して頑張っています。地域のボランティアや長寿会、霧島市薩摩義士顕彰会が長年続けてきましたが、今年初めて自治公民館の正式行事とし、文字通り地域全員で取り組むようにしました。先日の清掃では、この清掃に初めて参加した若い方と話Profile「はんぎり出し」は地域の絆◎惣田 征郎お盆明けの8月16日、国分広瀬地区では江戸末期から脈々と伝わる伝統行事「はんぎり出し」が行われます。はんぎり出しとは、いかだの上から漁師たちが投げ網で「エッナ」と呼ばれるボラの稚魚やチヌを捕え、その場です機会もあり、この清掃がきっかけで地域内の交流がさらに活発になるのではないかと期待しています。このように「はんぎり出し」はその存在が地域の絆となっています。この行事を多くの人に知ってもらい、ぜひ体験してほしいです。そして地域の絆が一層強まり、いつか昔のにぎわいが戻ってくれればと願っています。何より、エッナをさかなに飲む焼酎は格別ですよ。誰でも参加できますので、皆さんもぜひお越しください。伝統のはんぎり出しは地域や有志による美化活動に支えられているそうだ ゆきろう(70)国分広瀬出身。企業を経験後、高校教師として5つの公立高校で勤務。退職後、平成24年度から国分広瀬自治公民館長に。趣味はゴルフ。毎月集会で地域の方々と焼酎を飲みながらの歓談が楽しみ。大好きな広瀬海岸沿いをごみ拾いをしながら散歩するのが日課。妻と二人暮らし。27 Kirishima City Public Relations, 2014.8, Japan