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概要

広報霧島 2014年9月号

なぜ長野県はご長寿日本一になれたのか厚生労働省が発表した「都道府県別生命表」では、平均寿命が男性80・88歳、女性87・18歳で共に長野県が一位でした。しかし長野県は昔からずっと長寿県だったわけではありません。昭和40年の調査では、男性が68・45歳で全国9位、女性は72・81歳で26位。同年の脳卒中の死亡率は全国1位でした。長寿の秘訣について長野県健康増進課長の吉沢正さんに聞きました。「寒さが厳しい長野県では、保存のために塩分の多い食べ物が多く、それが高血圧を引き起こし、脳卒中の原因となっていました。そこで昭和40年代に始まったのが減塩運動。医師や保健師、栄養士などが減塩のレシピを配ったり、減塩教室を開催したりと予防に重点を置いた活動を展開。住民の健康意識を高めることにつながりました」健康づくりのボランティア活動の存在も大きいと吉沢さんは言います。「健康状態が悪かった終戦直後、長野県須す坂ざか市で始まったのが保健補導員です。忙しく駆け回る保健師の姿を見て、地域の方がボランティアで手伝いをしたのがきっかけでした。今では自治会組織の役職の一つにもなっており、県内全域で約1100人の保健補導員が自主的に活動。食生活改善推進員も昭和40 年代初めに全国に先駆けて組織化され、皆さんが家庭や地域で健康づくりを推進し、県民の健康増進に大きな効果をもたらしています」同県では1人1日当たりの野菜摂取量が男性378㌘(全国平均296㌘)、女性365㌘(全国280㌘)で共に全国で最も多く、果物摂取量も多くなっています。食事にかける時間も1日104分と長く、地元の野菜を使った料理を、ゆっくり味わいながら食べることが長寿につながっています。長野県民は働き者食べること以外にも健康のために大切なのが運動です。しかし雪国では冬は運動不足になりがち。そこで長野県では、寒い日でも家の中でできる健康体操を推進。冬以外でも運動の意識を高めるためにウオーキングマップを配る自治体もあり、住民が運動しやすい環境づくりに力を入れました。さらに吉沢さんは、日ごろの生活にも長寿の秘訣があるといいます。「高齢者の働いている割合である有業率が、男女共に長野県は全国1位です。農家が多く、皆さんいくつになっても本当によく働きます。日ごろの生活の中で自然と体を動かし、生きがいを持つ習慣ができています。元気の源は、こうした環境が大きいと思います」低医療費を実現野菜中心の生活と運動のおかげで、長野県は肥満者も少なく、さまざまな病気の予防にもつながっています。中でもがん死亡率は男性が全国47位、女性が46位と低くなっています。高齢者が多いと医療費が膨らむと思われがちですが、長野県は平成24年の1人当たりの後期高齢者医療は78万7242円(霧島市106万4188円)で、全国で4番目に低い額。自分の健康に注意しながら、仕事や生きがいを持って健康な生活を送ることで、低医療費を実現しています。健康な暮らしは誰もが望むもの。あとはその思いを形にすることが大切。長野県の人たちは、しっかりと形にして、日本一のご長寿になりました。厚生労働省によると、平成25年の日本人男性の平均寿命が、初めて80歳を超えて80.21歳と世界4位に。女性は過去最高を更新し86.61歳で、2年連続「世界一」になりました。一方で膨らみ続ける医療費が国や自治体の財源を圧迫している現状もあります。そこで注目されているのが、介護などを必要とせずに自立して生活できる期間「健康寿命」。今回の特集では、健康で長生きするための秘ひ 訣けつを探ります。長野県健康増進課長吉沢 正さん(51 )3 Kirishima City Public Relations, 2014.9, Japan