ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

広報霧島 2014年10月号

地域の素材で土器を作る陶芸教室に夢中になる子どもたちクリなどを使った奈良時代の料理が盛り付けられているのは、四元さんが復元した同時代の土は師じ器き(奈良県での体験イベントにて)当時の技法に忠実に、木の枝や貝殻などで模様を付ける。発掘された土器にはそれらの痕跡が残されている?休館日=毎週月曜 (祝日のときは翌日)?開館時間=午前9時~午後5時?入場料=大人310 円ほか問=上野原縄文の森 ?(48)5701四元さんが制作した土器の粗々しい触り心地と重さを体験できます。上野原縄文の森展示館上野原台地で発掘され、国の重要文化財に指定された出土品を展示しています。「時代が求めたもの」を復元調査に訪れる専門家から古代に関する知識や資料の見方などを学び、隼人の県工業技術センターで陶芸の基礎を習得した四元さん。土器の形状や模様には機能性や“はやり”など、明確な理由があることも学びます。「初めて土器を触ったときの感動を多くの人に知ってほしくて、材料や技法など忠実な復元にこだわっています。土や土器に彩色する絵の具の原料などは現地まで行って入手し、ろくろや模様を描く道具なども当時を再現したものです。器の焼き方も窯で焼いたり、野天で野焼きにしたりしています」四元さんのこだわりは次第に認められていき、直接触ることのできる土器として上野原縄文の森や全国の博物館などで活用されるようになりました。夜の帳とばりが下り、古民家の庇ひさしにひっそりと灯る裸電球。その下で額に汗し、レコードの音楽をよそに土の器へ模様を刻むのは陶芸家の四元誠さん(41)。国分川内の工房「琴こと鳴なり堂どう」で縄文土器や薩摩焼など日本の古代から近代までの“触ることができる”土器や陶磁器などを復元・制作しています。きっかけは、国分の上野原台地で遺跡の発掘調査が始まった昭和61年。歴史に多少の興味があり、調査にアルバイトで参加した高校生の四元さんは、自らの手で土器を発掘。以来、土器の持つ魅力に夢中になります。「面白いのは“人間らしさ”。土器には欠けた跡や描き直された模様など、明らかに古代人が失敗した証拠が残っているんです。彼らも私たちみたいな失敗をするんだなと思って、古代の暮らしが身近に感じられました」四よつ元もと 誠まことさん(41)27歳で国分川内に自らの工房「琴鳴堂」を開き独立。趣味は料理、新聞・漫画などさまざまなジャンルの読書。黒じょかなどのミニチュア陶器や土偶、埴輪なども制作。国分川内在住。また、土器や陶器の魅力を手軽に知ってもらうため、ミニチュア土器や陶器の販売を行い、地域に伝わる文化や気候風土に興味を持ってもらおうと陶芸教室なども開催しています。土器は創造へのきっかけ土器の性能と魅力を現代によみがえらせる四元さんですが「土器に触れることは新たな創造へのきっかけにすぎない」と話します。現在は、全国で開催される体験型の展示やイベントに復元土器を提供し、その研究のため床が抜けるほど膨大な資料と日々向き合っています。奈良県で開催された、奈良時代の復元食器に当時の料理を盛り付け来場者が実際に食べられる催しは大好評でした。味覚や触覚などを介して、多くの人が昔の文化や知恵に興味を示したことに大きな手応えを感じたといいます。「古代の出土品は、現地の限られた物を、知恵を絞って工夫した証し。どの土地にも眠っている素材や可能性があり、努力次第で良いものを生み出せるのだと教えてくれます。これからも私はそのメッセージに気付くきっかけをつくっていきたい」人間らしさを包み隠さず現代に伝える土器。四元さんの作品に触れると「失敗してもいい、創造への一歩を踏み出そう」と背中を押してくれます。17 Kirishima City Public Relations, 2014.10, Japan