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概要

広報霧島 2015年3月号

〈随ずいそう想〉になりました。私の故郷は旧市来町(現在のいちき串木野市)。そこで開業した整骨院には、多くの患者さまにご来院いただきました。そんな私には、子育てが一段落した後のささやかな夢がありました。誰も私のことを知らない別の場所で開業し、一から患者さまの信頼を築いてゆく過程を再び味わいたい。幸いにも弟が柔道整復師でしたので、市来の整骨院はそのまま譲り、移転開業地を探す環境が整いました。 そんなタイミングで出合ったのが「霧島錦江湾国立公園」のポスター。海、川、山とそこに暮らす人々の息遣いまで聞えてきそうな街並みが写され、正直で威厳のある1枚でした。鹿児島中央駅改札口を出た通路の掲示板前で感動し、しばらく動けなくなったことは今でも忘れられません。早速、霧島市役所を訪問し、観光課の方にポスターのことを尋ねたときは「ようこそ霧島市へ」と声を掛けられ、なんてフレンドリーな市役所なのだろうと頬が緩みました。その後、隼人塚が目の前にたたずむ“隼人”の地にご縁をいただき、憧れの地で開業への第一歩を踏み出すことができました。誰一人知らない土地で、ただこの地とここに暮らす人を愛する。その気持ちだけで整骨院を開院した私を信じて、地域の皆さんは来院してくださいます。まさか1枚のポスターから霧島市に憧れ、移住したなんてどなたも想像できないでしょう。隼人の地に住んでみると、患者さま以外にも地域行事などを通して、多くの触れ合いに恵まれました。春と秋に公民館で田の神さぁを祭って歓談する「霧島講」、自治会の班での年1回の旅行、子どもからお年寄りまでが一緒に汗を流す自治会の運動会。感動的な自然との触れ合いもあります。今の季節では、「朝日地区の早朝の光景」。日Profile◎橋口 均痛みで歩けない患者さまを手技のみで治療し、帰りは元気に歩いて帰られる。そんな祖父、父の技術を幼いころから目の当たりにしてきた少年は、「僕もいつか患者さまのお役に立ちたい」と思うようの出前、春の凜とした空気に包まれた中を散歩すると、東の空が次第にオレンジ色に染まり、振り向くと西の空にはまだ月が残り山肌が山頂から順に朝日を浴びて輝く。街にはまだ陽が降り注いでいないこの光景がたまらなく好きです。夢をかなえた幸せな日々は、憧れの地での自然や人との触れ合いのおかげ。診療が終わり、緊張感がかすかに残る院内でカルテの整理をしながら、来院された患者さまのことを「今ごろどうされているかな」など思い起こす毎日です。“憧れの地”へ移るきっかけとなった「霧島錦江湾国立公園のポスター」はしぐち ひとし(51)いちき串木野市(旧市来町)出身。柔道整復師、機能訓練指導員認定柔道整復師、ケアマネージャー。昭和61年整骨院を旧市来町にて開業。平成25年に隼人町へ移転開業。現在、橋口整骨院院長で、柔道整復師の育成指導にもあたる。唯一の息抜きが龍馬ハネムーンロードを歩く愛犬との散歩。“憧れの地”霧島27 Kirishima City Public Relations, 2015.3, Japan