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概要

広報霧島2015年7月号

〈随ずいそう想〉ら210人もの特攻隊員が祖国のために飛び立ち、その若い命を散らしました。国分駐屯地の前にある「特攻碑公園」の「特攻機発進之地」記念碑には、溝辺にあった基地から飛び立った隊員も含めた427人の名前が刻まれています。私は当時、特攻隊に志願しましたが、出撃を待たずに終戦を迎えました。今もこの碑を見るたびに、出撃された方々への敬意と生き残った負い目を感じます。碑は隊員の霊を慰めようと市民や自衛隊員により建立され、昭和39年8月15日に除幕。それ以降、毎年同日に全国から特攻隊の生存者や遺族、関係者が集まり、特攻慰霊祭が行われてきました(現在は出撃者数が多かった4月22日に近い日曜に開催)。私たち国分福島地区の老人会「創年クラブ」も当初から慰霊祭に参加してきました。現在、22日を清掃の日に定め、毎月この公園に祭られている霊に対し供養の気持ちを込めて花を供え、公園の草刈りや植木の手入れなど清掃を続けています。これまで暑い日も寒い日も雨の降る日も、30年以上続けてこられたのは「私たちにできることをやりたい。遺族の方たちがいつ来られてもいいように、きれいな碑を見て喜んでもらえるように」という共通の思いがあったからだと思います。同クラブは現在91人で、30人ほどが交代で取り組んでいます。植木の間の落ち葉も拾い、しおれる前には花を替え、碑に水を掛けるときは「ありがとうございます」と語り掛けます。掃除が終わり、きれいになった公園を見ると、みんな思わず笑みがこぼれます。空をながめ、「心安らかに」と祈らずにはいられません。この活動を通してうれしいこともあります。ここを訪れる遺族の方が、本当に喜んでくださることです。例えば、東京から来られた遺族の方で、鹿屋の航空基地史料館でここのことを聞きつけ訪れた方もいました。立派な碑が立ち、名前が刻まれていることに感激したようで、その後、私たProfile私たちにできることを続けて◎盛重 秀夫皆さんは陸上自衛隊国分駐屯地を含む広瀬・福島一帯に、特攻隊の発進基地があったことを知っていますか。ここかちが供えた花に感謝し、手紙と共に花代が届いたこともありました。地域の先輩方から受け継いできた私たちの思いがご遺族の心に届き、本当にうれしかったです。今年、戦争が終わり、平和が訪れてから70年がたちます。これからも平和が続くことを願って、特攻隊員とご遺族のため、私たちは特攻碑公園をきれいに守っていきたい。そして、平和の尊さを後世に伝えていきたいと思います。いつもきれいな花を生けている創年クラブの女性会員たちもりしげ ひでお(86)鹿屋市輝北町生まれ。昭和30年から昭和64年1月まで陸上自衛隊国分駐屯地で防衛庁技官として勤務。昭和45年、国分西小に剣道クラブを創設。平成11年に秀明館道場開設。剣道4段、居合道5段。趣味は木工と園芸。今年から福島地区老人会「創年クラブ」会長。国分福島在住。27 Kirishima City Public Relations, 2015.7, Vol.212, Japan