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概要

広報霧島2015年7月号

神風特別攻撃隊未来への遺言亡くなった夫の兄が特攻隊員でした。横川町の実家から近い、溝辺町の第二国分基地から出撃していきました。夫はそのときのことをよく覚えていました。出撃の日、家の上空を3回旋回し、操縦席からは特攻隊員が首に巻く白いマフラーをなびかせながら、手を振って南の空へと消えていった1機の特攻機。兄だとすぐに気付き、家族は泣きながら見送ったそうです。少し悲しげな表情で話す夫の姿に、そのときの家族の心境が伝わってきました。戦時中、国分清水の郵便局に勤めていました。局長が出しゅっ征せいし、女性3人で切り盛りしていました。近くに穴を掘り、それを防空壕として使っていましたが、女性の力ではそんなに深く掘れず、近くに爆弾が落ちたときには、青い炎が中まで入ってきました。何度も危険な目に遭いましたが、それでも郵便局を閉めなかったのは、特攻隊員の手紙があったからです。出撃前、家族に向けた手紙。これだけは絶対に届けないといけないと思いました。特攻隊の記憶3回旋回が別れのあいさつ中村ヨシ子さん(90) 横川町中ノ特攻隊員の手紙のために飛松ミチさん(89) 隼人町姫城このまちに 国分と溝辺にあった二つの特攻基地。 ども攻撃され、たくさんの時限爆弾も落としていきました。敵機がいなくなったと思い、防空壕などから出てきたところで爆発。いつどこで爆発するか分からない恐怖で安心して暮らすことができず、国分の山間部の民家に疎開。まさしく激動の日々でした」あのころ、生活の中心にあった特攻基地。その記憶は今もなお人々の心にしっかりと残っています。宮永光雄さん(79)国分広瀬5 Kirishima City Public Relations, 2015.7, Vol.212, Japan