ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

広報霧島2015年8月号

横川町上ノで工房「陶とう仁じん」を開く陶芸家の渕脇克かつ仁ひと(49)さん。陶器の持ち味である「焼き具合」と「質感」で実物さながらの表情を持つサイやゾウ、ワニなど動物の陶芸作品を制作しています。それらの作品は全国の陶磁器コンペでグランプリや優秀賞を連続で受賞するなど高い評価を受けています。陶芸家としての道を歩む渕脇さん。その道に進んだのは「ささいなきっかけ」と「自分を変えたいという思い」でした。「きっかけ」を生かすには20代を関東で過ごしていた渕脇さん。当時の仕事に生きがいを見いだせずに悩んでいた27歳のとき、陶芸教室に通っていた母親から陶芸を勧められます。陶芸には全く関心がありませんでしたが、子どものころから模型など物作りが好きだったこともあり、「心の底で現状を変えたいと思っていたのかもしれません。ためらいもありましたが、案ずるよりまずは“動いてみよう”」と仕事を辞め、両親が住む横川町に移住しました。陶芸の基礎的な知識と技術を県工業技術センターで1年間学び、その後も修業を重ねる中で、次第に心に変化が表れます。「気が付いたら土を形にすることに夢中になっていました。そのころから陶芸で食べていくことに迷いはありませんでした」と、平成13年に自らの工房を開きました。最初は普通の食器などを作っていた渕脇さんですが、次第に自分のイメージを形にしたいと思うようになります。元々動物が好きだったため、取っ手を魚の形にしたコップなどから始まり、やがて基本的な形を押さえながら、自分の持つ動物へのイメージを強調した独創的な作品を作るように。それらを出品した平成25年の鹿児島市のクラフトイベントで、幅広い客層から支持を受け大きな手応えを得ました。今でこそ作品が高い評価を受けるようになった渕脇さんは「納得のいく作品になるまで何度も失敗を重ねました。生計も楽ではありませんでしたが、家族の支えのおかげで頑張れました。今があるのも、あのとき“新しいことをやってみよう”と思えたから。自分の正直な気持ちを信じて、努力すれば道は開けることを実感しました」と笑顔で話します。小さな一歩が人生を変える自分の生き方に迷った経験がある渕脇さんは、同じような境遇の人に「ちょっとのことが人生を変える」とエールを送ります。「とにかく興味が湧いたら行動に移すことが大事。自分に向くかどうかはやってみないと分かりません。始めの一歩は無理のない程度で十分。絵に興味を持ったら、絵画教室をのぞいたり絵画展に行ったりしてみる。せっかく持った好奇心を増幅させてください。あなたが踏み出す小さな一歩は、きっとあなたの人生の大きな一歩になるはずです」渕脇 克かつ仁ひとさん(49)北九州市で生まれ。四日市市萬ばん古こ 陶磁器コンペで平成25年にグランプリ、平成26、27年に優秀賞を連続受賞、平成25年のAMAKUSA陶芸展では審査員特別賞「日比野克彦賞」を受賞。今年5月には鹿児島市のマルヤガーデンズで初の個展を開催。横川町在住。四日市市萬古陶磁器コンペでグランプリを獲得した「角の勇者」初めて自らの工房で作った「龍の壺」を手にほほ笑む渕脇さん。後ろの窯から個性豊かな作品が生み出される今があるのも「新しいことをやってみよう」と思ったから右の2次元コードから渕脇さんの作品が見られます→3 Kirishima City Public Relations, 2015.8, Vol.214, Japan