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概要

広報霧島2020年9月号

THE SCENE Vol.155霧島に生きる?「元気が出る箸置き」の素案 ?絵付け作業では筆がぶれないよう息を止めて描く ?遊びで作ったアマビエの置き物 ?細かく絵の具を混ぜ合わせ色合いを調節 ?陶芸教室で絵付け作業のアドバイスをする溝延さん ?陶芸教室参加者の作品s l o w l i f e作品を楽しみながら作っていますが、見る人にも楽しんでもらえたらうれしいです」と笑みをこぼすのは、陶芸を趣味にする溝延高志さん(67)です。7月の第48回鹿児島陶芸展で、3年連続の上位入賞を果たしました。その作品の一つ「元気が出る箸置き」は、創作部門の二位に当たる南日本新聞社賞を受賞。「いろんな人が新型コロナの影響で、家で食事をする機会が増えた。そんな人たちに作品を見て笑顔になってもらいたかった」と話します。45歳ごろから本格的に陶芸に打ち込み始め、納得いく作品ができるようになり陶芸展に出品しますが、上位入賞するまでに20年近い時間がかかりました。初めは普通のコップやお皿を出品していた溝延さんですが「技術はプロにかなわない」と感じた後は、作風が大きく変わりました。初めて上位入賞した作品は、家の前に落ちていた潰れた空き缶から着想を得たものでした。「他の人とは違うものを作りたい。アマチュアだからこそ自由な発想と切り口で、遊び心のある作品を心掛けています」と作品に込める思いを話します。陶芸との出会いは23歳のとき。京都の設計会社に就職し、そこで清水焼などの伝統ある陶器を目にする機会が多かったことから興味を持ちました。転職で鹿児島に来た後、友人の誘いで陶芸教室に参加し、自分で制作することの面白さに気付きます。陶芸の奥深さとその難しさに「やればやるほど引き込まれていきました」と振り返ります。「長い制作過程のうち、一つでも失敗すると完成品にはなりません。最初の土をこねて空気を抜く作業でも、満足にできるまで3年かかるといわれ、ろくろで全く同じ形を作るのは今でも失敗します」とおどけます。溝延さんは現在自治会長を務め、地域の活動にも積極的です。「自分が住む地域がもっと元気になってほしい」との思いから、作品の一部は地区の祭りや忘年会などの景品として提供。最近では、地域の人の「陶芸教室を開いてほしい」との声を受け、子ども向けの陶芸教室を開催。要望は大人向けの教室にも及び、今後も定期的に開催予定です。「多くの人と関わることがいい刺激になる」と優しい表情を浮かべます。「陶芸は奥が深いので、何回作っても完璧なものはできません。それでも毎回少しずつ前進を感じられます。何より遊び心を持って、自分自身が楽しんでいるから続けられるのかもしれません」とほほ笑む溝延さん。今日も誰かの童心をくすぐるような作品を求め、アイデアと土を練ります。??????広報きりしま 14