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概要

広報霧島2020年9月号

まざまな歴史資料が誤って捨てられています。家主の交代をきっかけに、処分されることも多々あります。こういった処分から資料を守るため、全国各地の自治体や大学が中心となって立ち上げた「※2 歴史資料ネットワーク」という団体が活動を行っています。地域の財産を未来に残すために、簡単にごみに出すのではなく、保存する方法をぜひ探してみてください。(文責=小水流)た。カキやハマグリなどの貝殻、鹿の骨だけでなく、土器や貝殻でできた製品も出土しており、当時の食文化と生活文化を知ることができます。貝塚が発見されたことで、縄文時代には鹿児島神宮周辺まで海だったことも分かります。ふすまの下張り文書も歴史を知る手掛かりとなります。紙が貴重だった時代、ふすまを張るときには、手紙など使用済みの紙を下地として再利用していました。そのため、古い家のふすまをはがすと、昔の人の手紙や新聞紙などが現れます。それが当時の人々の様子を知るための古文書になることもあります。未来に受け継ぐ地域の財産物は、人が価値を見いだせなくなったときにごみになります。他の人がそこに価値を見いだすと、一転してお宝になります。家の蔵に眠っていた古くて読めない文書が、地域の歴史を知る上で重要な資料だったというのは、歴史の世界ではよくある話です。皆さんの家にも、蔵や倉庫に眠っている古い紙や本はありませんか。虫に食われていたり、読めなかったりするとごみと見なされがちですが、そこから地域や先祖の生活・文化を垣間見ることができます。古い切手や日記、アルバム、写真なども、昔の暮らしを知る地域の記録として貴重な資料となります。東日本大震災の被災地などでは、こういった歴史資料を救済・保全したことで、地域の歴史を再認識し、「復興への原動力」「心の復旧」という重要な役割を果たしました。地域の歴史資料はお金にはなりませんが、未来へ受け継ぐべきかけがえのない財産(=文化財)なのです。近年は、災害復旧のための片付けや被災家屋の取り壊しによって、さ不要な物を処分して、家の中をすっきりさせる「断捨離」。新型コロナによる 外出自粛で、家の物を処分した人も多いのではないでしょうか。必要ないと切り捨ててしまえば、なんでも「不要物=ごみ」になってしまいます。しかし、歴史の世界ではごみがお宝になることがあります。ごみが歴史に代表的なものが貝塚です。貝塚とは、縄文時代などに人々が食べた貝や動物、人の遺体、土器などさまざまな物を処分していた、いわばごみ捨て場です。霧島市にも、鹿児島神宮の裏手側に※1 宮坂貝塚があります。約7千年前の縄文時代早期のもので、神宮出口の車道を造った際に発見されましThe gateway to local historyごみと歴史※1 囲いを設けて展示していたが、今年7月の豪雨で半分が崩落し、現在は見学することができない。※2 県内では「鹿児島歴史資料防災ネットワーク」が個人宅にある歴史資料を救済・保全する活動を行っている。宮坂貝塚から発見された貝殻(上)と土器(中)、動物の骨(下)の一部23 Kirishima City Public Relations, Japan 2020.9, Vol.326