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概要

広報霧島2020年10月号

お酒の利害は表裏一体飲酒は暴力や虐待、事故などの社会問題の一因になることがあります。健康面では、過度の飲酒は高血圧や脳出血の危険性を高めるといわれており、生活習慣病の原因となることが知られています。一方で、飲酒しない人に比べて少量飲酒する人は虚血性心疾患など、危険性が低くなるものもあることが、国内の疫学研究で示されています。(グラフ1)性別や体質など、人によってお酒の適正な量は異なります。自分の体と向き合いながら適度な量とペースを心掛け、健康第一で楽しみましょう。焼酎は糖質・プリン体ゼロビールやワイン、清酒など、お酒はさまざまな種類が楽しめますが、糖質・プリン体が全く入っていないのは泡盛と焼酎だけ。料理にはどうしても糖質などが含まれます。それらが気になる人が食中酒として楽しむなら、焼酎の方が健康的です。グラフ1)1日の平均飲酒量(g)と相対危険度の変化最近の研究で、芋焼酎にはアロマセラピーに使われる植物の香り成分(精油)と同じものが含まれることが分かりました。「お湯割りで飲むと香りが一段と引き立ち、さらにリラックス効果が期待できる。晩酌で芋焼酎を飲む際には、お湯割りで飲むことをお勧めします」と話すのは、鹿児島大学農学部附属焼酎・発酵学教育研究センター長の髙峯和則さん(56)です。芋焼酎の特徴として挙げられるのは、その香り高さ。鹿児島の人々が「だれやめ」をして疲れを癒やす昔ながらの文化は、実は理にかなったものだったのかもしれません。現代の日本人にこそ勧めたい理由厚生労働省の調査では、日本人の約6人に1人が糖尿病かその予備群と推計されています。多くは生活習慣との関わりが深いとされており、食習慣や運動習慣の改善が必要といわれています。日本人にとって身近な病気である糖尿病ですが「本格焼酎には、食後の血糖値の上昇を抑える効果があることも分かってきました。これは糖尿病の予防にもつながり、食中酒として楽しまれている焼酎にとってうれしい効果です」と焼酎の新たな可能性について話す髙峯さん。研究では食後の血中インスリン濃度の上昇が抑えられたことも確認されました。「血糖値が高めの人には、焼酎をお勧めしたい。もちろん、どんな人でも適量を守るという前提ですが」と続けます。糖尿病の予防のためには生活習慣を改善することが一番ですが、焼酎は健康に配慮してお酒を楽しめる手段の一つといえます。家に眠っている焼酎が老化防止に効果あり今年1月に発表した研究成果について「常圧蒸留で造られた黒糖焼酎・芋焼酎には、抗老化作用のある物質が含まれることが分かりました」と話す髙峯さん。その物質は、貯蔵された年月が長いほど多く生成されます。「製品として出荷された後も例外ではないため、自宅で長く眠っている焼酎があれば、それこそお宝かもしれません。老化防止のためにもぜひ飲んでみては」と力を込めます。焼酎の新たな健康効果の解明など、今後の研究にも期待が膨らみます。鹿児島大学農学部附属焼酎・発酵学教育研究センター長髙峯 和則さん(56)指宿市出身。熊本大学大学院自然科学研究科博士課程修了。民間企業、鹿児島県職員としての勤務を経て、平成18 年から同センター勤務。理にかなっただれやめ文化(相対危険度)(相対危険度)2.0 2.01.5 1.51.0 1.00.5 0.5禁酒者 非飲酒者 0.1~22.9 23.0~45.9 46.0~68.9 69.0以上 禁酒者 非飲酒者 0.1~22.9 23.0~45.9 46.0以上※死亡率の相対危険度は、年齢、BMI、教育歴、喫煙、運動、糖尿病と高血圧の既往で補正された数値。グラフ中の禁酒者は、以前は飲酒していたが、何らかの理由で現在禁酒している人。総死亡数心血管疾患外傷など外死因がん男性女性(厚生労働省ホームページ「飲酒とJカーブ」を基に作成)3 Kirishima City Public Relations, Japan 2020.10, Vol.328