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概要

広報霧島2021年2月号

薬薬は大きく分けて欧米で発達した西洋薬と、日本や中国で発達した東洋薬に分けられます。患部に視点を置き、手術したり、臓器に直接働きかけたりして治癒を図る西洋医学に対し、東洋医学では全身に視点を置き、免疫機能を高めることで治癒を目指します。どちらが良いということはなく、慢性的なものかなど、症状や体質に応じて使い分けるのが理想とされます。漢方という薬東洋医学の中でも広く知られる漢方薬。主に複数の生薬を配合したものを一つの漢方薬として使用します。生薬は自然にある植物や動物などさまざまなものから作られ、中には西洋薬としてその成分が使用されるものも。近年では、がん治療の中でも免疫治療として漢方薬を用いることがあるなど、漢方の力が注目されています。東洋医学では、なんとなく体の調子が悪いなど、病気とはいえないけれども体調不良がある状態を「未病」といいます。具体的な病気になる前から治療の対象と考える、予防医学の側面を持っています。健康で長生きするためには養生する。飲食の節度を守ること、生活を規則正しくすることを重視します。病気の状態から少しでも健康な状態に近づけ、薬がいらない状態にすることが、本当の意味での治療です。薬を飲むことだけが治療ではありません。自分の体質を知り生活習慣を見直すことで、自然治癒力を引き出すのも東洋医学の治療の一つです。薬膳という言葉が広まったのは最近ですが、その考え方は昔ながらの食事にも通じるものがあります。みそやかつお節などの発酵食品は免疫力を高めるなど、体に良いことが知られています。鹿児島の郷土料理にも、ニッケイの葉を使ったかからん団子や山芋を使ったかるかんなど、生薬として使われている素材を使用した料理が数多くあります。私たちの暮らしに受け継がれてきた食事にも、実は薬膳といえるものがあふれています。まずは食材に含まれる成分や性質を知り、健康に生かすことから始めてみてはいかがでしょうか。あんず東洋医学クリニック院長立蔵 順子さん国分出身。鹿児島大学大学院卒業、医学博士。病院勤務を経て、たちくら小児科を開院、10年前に引退。専門外だった東洋医学を勉強するうち、医師に戻ることを決意。4年前にあんず東洋医学クリニックを開院。国分在住。暮らしの中にある薬は適切に服用・管理するだけでなく、免疫力を高めることで薬に頼らずに済むよう日頃の生活を見直すことも大切です。暮らしに根付く東洋医学について、西洋医学と東洋医学の両方を学んだ医師・立蔵順子さんに聞きました。広報きりしま 4