ホーム > 教育・文化・スポーツ > 歴史・文化財 > 歴史イベント・お知らせ > 市無形民俗文化財「小村新田のハンギリ出し」の指定
ここから本文です。
更新日:2023年7月15日
令和5年7月20日、新たに「小村新田のハンギリ出し」を市の無形民俗文化財に指定しました。
「小村新田のハンギリ出し」は毎年8月16日に盆の精進落とし行事として、国分広瀬の干拓潮遊池で行われます。
ハンギリと呼ばれる底の浅い馬の飼葉桶を孟宗竹ではさみ、板を載せてイカダを作ります。これを池に浮かべ、上に乗って投網を行い、エッナ(ボラの子ども)などの魚を獲る漁を行い、せごし(刺身)にして酢味噌で食べるまでが一連の行事です。
江戸時代末期に小村新田を干拓した際、護岸や用水等のために潮だまりが造られ、水の管理のために水守りを置き、給料代わりに漁業権が与えられました。水守りなどが日を決めて許可書を発行し、エッナを獲らせたことが起源とされています。
指定した際の評価は次の通りです。
幕末に薩摩藩の産業振興や軍事防衛のために造られた小村新田の歴史から誕生した行事であり、地域の歴史を今に伝える。
盆の精進落としが地域の行事になっている例は非常に珍しく、大変希少である。
ハンギリと呼ばれる底の浅い飼葉桶を2本の竹で挟み、板を載せて作る独特な形のイカダに乗って投網漁を行うが、ほかに類例を見出すことができない。
昔は霧島市隼人町の浜之市地域でもハンギリ出しが行われていて、投網での漁法や、刺身を酢味噌で食べるという食文化など霧島市沿岸部の地域的な文化を今に伝える貴重な行事である。
文化財調査報告書「小村新田のハンギリ出し」(PDF:1,001KB)