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更新日:2023年8月3日
隣の土地から境界を越えて木の枝や竹などが伸びてきた場合、これまでは、自分で切り取ることはできず、その木や竹の所有者に切ってもらう必要があり、所有者が応じない場合は、訴えを起こして切除を命ずる判決を得て強制執行の手続きをとる必要がありました。
令和5(2023)年4月1日の民法改正により、越境された土地の所有者は、木の所有者に枝を切り取らせる必要があるという原則を維持しつつ、次のいずれかの場合には、枝を自ら切り取ることができるようになりました(改正後の民法第233条第3項第1~3号)。
1.⽵⽊の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが、⽵⽊の所有者が相当の期間内に切除しないとき(相手に切除が必要な状態や理由、期限などを記した文書を通知したが切除してもらえない場合など)
2.⽵⽊の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき(不動産登記簿などの公的な記録により、所有者へ通知しても返送された場合などで、所有者の所在が分からない場合など)
3.急迫の事情があるとき(台風で隣地の木の枝が折れ、落下して建物を壊す恐れがある場合など)
上記1.の「相当の期間」とは、越境した枝を切り取るために必要な時間的猶予を与える趣旨であり、事案にもよりますが、基本的には2週間程度と考えられます。
越境した枝の切取り費用は、枝が越境して⼟地所有権を侵害していることや、⼟地所有者が枝を切り取ることにより竹⽊の所有者が本来負っている枝の切除義務を免れることを踏まえ、基本的には、竹⽊の所有者に請求できると考えられます(⺠法第703条、第709条)。
越境した枝を切り取るのに必要な範囲で、隣地を使用することができます(改正後の民法第209条)。
民法改正により、越境してきた竹木を切り取ることができるようになる一方で、必要以上に枝を切りすぎてしまい、相手方との思わぬトラブルになる危険性もあります。越境した枝の問題は、それぞれの土地の所有者同士で解決していただくことになりますので、越境した枝木の切取りをお考えの場合は、事前に弁護士等へご相談ください。
なお、霧島市では、弁護士による法律相談を無料で実施しています。全て予約制となっておりますので、ご相談希望の方は事前のご予約をお願いします。
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