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更新日:2016年7月26日

行政不服審査法の全部改正について

1 行政不服審査法の全部改正の概要

(1) 行政不服審査法の全部改正について

  • 行政不服申立てとは、国民が、行政庁による公権力の行使につき、行政機関に対して不服を申し立てる手続です。
  • 行政不服審査法は、行政不服審査制度の一般的な規定を定めた法律であり、その目的は、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することであり、訴訟と比べ簡易迅速な手続により、違法性のみならず、不当性についても判断をします。
  • この行政不服審査法は、昭和37年に制定されて以来、約50年もの間、抜本的な改正がなされていませんでしたが、平成26年6月に公正性・利便性の向上等の観点から抜本的な見直しが行われ、改正後の同法(以下「新法」といい、改正前の同法を「旧法」といいます。)は、平成28年4月1日から施行されました。

(2) 新法のポイント

新法において見直しが行われた主な事項は、次のとおりです。

ア 審理・裁決の公正性の向上

(ア) 審理において、職員のうち処分に関与しない者(審理員)が、審査請求人と処分庁の主張を公正に審理

(イ) 裁決について、有識者から成る第三者機関が点検

(ウ) 審理手続における審査請求人の権利を拡充


審理の構造

イ 使いやすさの向上

(ア) 不服申立類型を原則として「審査請求」に一元化

(イ) 例外として、個別法の特別の定めにより「再調査の請求」(審査請求との選択制)及び「再審査請求」を設置

(ウ) 審査請求期間を3か月以内(旧法では60日以内)に延長

審査請求の流れ


(3) 新法と旧法の比較について

新法と旧法の主な違いは、次表のとおりです。

区分

新法

旧法

公正性の向上

審理を行う者

  • 審理において、職員のうち処分に関与しない者(審理員)が、審査請求人と処分庁の主張を公正に審理する(審査庁が行政委員会等である場合など、審理員が指名されない場合もある。)
  • 規定なし

(処分関係者が審理を行うことがあり得る。)

第三者による点検

  • 裁決について、原則として、有識者から成る第三者機関(行政不服審査会等)が点検する。
  • 規定なし

審査請求人の権利

  • 関係書類は、閲覧に加えて謄写が可能となる。
  • 口頭意見陳述において処分庁への質問が可能となる。
  • 関係書類は、閲覧が可能

使いやすさの向上

不服申立ての可能な期間

  • 3か月以内
  • 60日以内

不服申立ての手続の種類

(原則)

  • 審査請求に一元化

 

 

 

(例外)

  • 再調査請求(審査請求前の選択による)
  • 再審査請求(審査請求後、出訴前)

(原則)

  • 処分庁に上級行政庁がある場合は、審査請求
  • 処分庁に上級行政庁がない場合は、異議申立て

(例外)

  • 異議申立て(審査請求に前置)
  • 再審査請求(審査請求後)

不服申立て前置

  • 右の96法律のうち68法律で不服申立て前置を廃止、縮小
  • 不服申立てに対する裁決を経た後でなければ出訴ができない旨(不服申立て前置)を定める個別法が96ある。

 

(4) 新法における用語の解説について

新法に関し、特に説明が必要と思われる用語について、次表のとおり解説します。

用語

内容

処分

  • 判例では、「公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの」と定義され、一般的には、「行政庁が、法律に基づき、公権力の行使として、直接・具体的に国民の権利義務を規律する行為をいう」ものとされている。

不作為

  • 法令に基づく申請に対し、行政庁がなんらの処分をもしないことをいう(新法第3条)。

行政庁

  • 一般的に、行政主体(国や地方公共団体など、行政上の権利義務を負い、自己の名と責任において行政活動を行う法人をいう。)のために意思を決定し、それを外部に表示する権限をもつ行政機関(各省大臣、知事、市町村長など)を指す。
  • 行政庁は、独任制、すなわち行政行為をする権限が単独の公務員に属するのが原則である。この点、政治的に中立公正な行政を営む必要のある領域や専門技術的な知見に基づく判断を必要とする行政分野においては、各界の識者・利害関係層の代表者等を集めた合議制の行政庁が設置されており、教育委員会などいわゆる行政委員会がこれに該当する。

処分庁等

  • 審査請求に係る処分をした行政庁を処分庁、審査請求に係る不作為に係る行政庁を不作為庁といい、これらをあわせて処分庁等という(新法第4条第1項)。

上級行政庁

  • 当該行政事務に関し、処分庁等を指揮監督する権限を有する行政庁を指す。
  • 普通地方公共団体の長には上級行政庁は存在しない。普通地方公共団体の長以外の執行機関(行政委員会及び委員)は、長の所轄の下に置かれるが(地方自治法第138条の3第1項)、職権行使について独立性を保障されているので、上級行政庁は存在しない(長は上級行政庁に当たらない)。

審査庁

  • 審査請求がされた行政庁を審査庁という。処分庁等に上級行政庁がある場合は、当該処分庁等の最上級行政庁が審査庁となり、処分庁等に上級行政庁がない場合は、当該処分庁等が審査庁となる(新法第9条第1項本文)。

審理員

  • 審査庁から審理手続を行う者として指名を受けた審査庁に所属する職員であり、審査請求に係る処分に関与していないことなどの要件がある。審査請求の審理に当たっては、中心的な役割を担う(新法第9条)。

審理員意見書

  • 審理員が審理手続を終結したときに作成するもので、審査庁がすべき裁決に関する意見書をいう。なお、審理員は、審理員意見書を作成したときは、速やかに、事件記録とともに審査庁に提出しなければならないものとされている(新法第42条)。

行政不服審査会等

  • 審査庁の諮問を受けて、審理員が行った審理手続の適正性を含め、審査請求について審査庁の判断の妥当性をチェックする合議制の機関をいう。
  • 国の場合は、総務省に置かれる行政不服審査会(新法第5章第1節)
  • 地方公共団体の場合は、地方版の行政不服審査会(新法第5章第2節)

裁決

  • 審査請求等に対し、審査庁が審査をした結果の判断をいう。
  • 裁決には、却下裁決、棄却裁決及び認容裁決の3種類がある。

2 新法における審理員制度及び行政不服審査会等について

新法における審理手続の柱である審理員制度及び行政不服審査会等について説明します。

(1) 審理員制度

ア 審理員制度の概要

  • 審理の公正性・透明性を高めるため、処分に関する手続に関与していない等の要件を満たす者(審理員)が、審査請求に係る審理手続を主宰するものです。
  • 審理員は、審査庁から指名されることになりますが、審査請求に係る個別具体的な審理手続に関して審査庁から指揮監督を受けることはなく、また、審査庁もこれを行ってはならないこととされています。
  • 審理員は、新法の規定に基づき審理手続を行い、最終的には、審理員意見書(審査庁がすべき裁決に関する意見書)を作成し、これを事件記録とともに審査庁に提出します。

イ 審理員の指名を要しない(審理員による審理手続が行われない)場合

新法の規定により、次の場合には、審理員に代わり審査庁が審理手続を行います。

(ア) 審査庁が、「地方自治法第138条の4第1項に規定する委員会若しくは委員又は同条第3項に規定する機関」である場合

審査庁が、教育委員会、監査委員会等の行政委員会若しくは委員又は建築審査会等の附属機関(以下「行政委員会等」といいます。)である場合は、審査請求に係る審理において、優れた見識を有する委員等で構成される合議体により、公正かつ慎重に判断されることが制度上担保されていると考えられることから、審理員による審理手続を行わせる必要はないこととされています(新法第9条第1項第3号)。

(イ) 条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合

条例に基づく処分については、条例で特別の定めを設け、審理員を指名しないこととすることができます(新法第9条第1項ただし書)。
本市においては、「霧島市情報公開・個人情報保護審査会」が設置され、審理の公正性が確保されているといえる「霧島市情報公開条例」に基づく開示決定等及び「霧島市個人情報保護条例」に基づく開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等並びにこれらの不作為を、審理員の指名を除外する処分とすることとしました。

(ウ) 審査請求を却下する場合

審査請求人が審査請求書の不備を相当の期間内に補正しない場合や、不適法であって補正できないことが明らかである場合には、審理員による審理を行うまでもなく、審査請求を却下すべきことが明らかであるため、このような場合には、審理員の指名を要しないものとされています。

ウ 本市における審理員指名の考え方

  • 本市においては、原則として、各課等が行った処分に対して審査請求が行われた場合には、当該課等が属する部内における主管課等(政策担当課)の課長を審理員に指名することとしました。
  • なお、当該主管課等の課長が審査請求に係る処分に関与していた場合には、霧島市組織及び事務分掌等規則(平成17年霧島市規則第4号)上の並び順に従い、当該部内における別の課長を審理員に指名することとしています。
  • この審理員指名の考え方に関しては、霧島市行政不服審査法施行条例施行規則(平成28年霧島市規則第10号)第6条に規定しています。

霧島市行政不服審査法施行条例施行規則【抜粋】

(審理員の指名)

第6条 法第11条第2項に規定する審理員は、原則として、審査請求がされた処分を所管する課等が属する部等の主管課長等(霧島市庁議等規程(平成17年訓令第2号)第8条第1項第1号から第9号までに掲げる者をいう。以下同じ。)を指名するものとする。この場合において、主管課長等が法第9条第2項第1号に該当するときは、霧島市組織及び事務分掌等規則(平成17年規則第4号)別表第1課の欄の並びに従い、主管課長等が所属する課の直下の課の長(主管課長等が消防局総務課長であるときは、総務部総務課長)を指名するものとし、当該課の長が法第9条第2項第1号に該当するときも同様とする。
2 前項の場合において、各総合支所の課等が、審査請求がされた処分を所管する課等であるときは、当該処分と相当の関係性を有する本庁の課を選定し、当該課を審査請求がされた処分を所管する課等と仮定して審理員を指名するものとする。

(2) 行政不服審査会等

ア 国の行政不服審査会

  • 行政庁の処分等に対する審査請求に係る裁決の客観性・公正性を高めるため、第三者の立場から、審理員が行った審理手続の適正性や法令解釈を含め、審査庁である主任の大臣等の判断の適否を審査する機関として、総務省に行政不服審査会が設置されました(新法第67条)。
  • 当該審査会は、審査会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は行政に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て総務大臣が任命する委員9人をもって組織されます(新法第68条・第69条)。

イ 地方公共団体に置かれる附属機関

  • 地方公共団体の長の処分等に係る審査請求に関し、審査庁である地方公共団体の長の判断の適否を審査する機関として、国の行政不服審査会に相当する附属機関を置くこととされ、当該附属機関の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定めるものとされています。
  • 本市においては、霧島市行政不服審査法施行条例(平成28年霧島市条例第12号)を制定し、次により霧島市行政不服審査会を設置しました。

(ア) 名称

霧島市行政不服審査会

(イ) 分掌

新法の規定に基づく諮問案件について調査審議し、答申を行うこと。

(ウ) 組織

委員5人以内をもって組織する。

(エ) 委員

審査会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は行政に関して優れた識見を有する者のうちから任命する。

(オ) 委員の任期

2年(委員は再任されることができる。)

(カ) 事務局

総務部総務課が処理する。

ウ 霧島市行政不服審査会における調査審議の手続

国の行政不服審査会における調査審議手続に係る新法の規定は、霧島市行政不服審査会に準用されます。

エ 行政不服審査会等に諮問されない場合

次に該当する場合又は当該審査請求に係る処分が審理員の指名を要しない場合(上記(1)のイ)には、行政不服審査会等に対する諮問は行われません。

(ア) 審査請求に係る処分が、他の法令、条例の規定に基づき第三者機関の議を経てなされている場合

(イ) 裁決をしようとするときに、他の法令、条例の規定に基づき第三者機関の議を経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て裁決しようとする場合

(ウ) 審査請求人が諮問を希望しない場合

(エ) 行政不服審査会等が諮問を不要と認める場合

(オ) 審査請求が不適法であり、却下する場合

(カ) 審査請求を全部容認する場合

お問い合わせ

総務部総務課文書法制グループ 

〒899-4394 鹿児島県霧島市国分中央3-45-1

電話番号:0995-64-0915

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